飲食店を経営するなら知っておきたい!税務の基本と賢い節税対策

皆さん、こんにちは。
日本橋生まれ日本橋育ち、江戸っ子税理士の岩上です。

「売り上げは上がっているのに、手元にお金が残らない」「税金が思ったより高くてびっくりした」ー飲食店を経営されているお客様からこんなお話をよく伺います。

飲食業は、仕入れ・人件費・家賃・光熱費など毎月かかるコストが非常に多い業種です。だからこそぜいむの基本をしっかり押さえて、使える制度はきちんと活用することが長く安定した経営につながります。

この記事では飲食店経営者の方に向けて、税務上の注意点と節税対策をわかりやすく解説します。

まず知っておきたい「利益」と「税金」の関係

税金は「売上」に係るのではなく「利益(=売上ー経費)」に掛かってきます。

つまり、売上が多くても経費もそれなりにかかっていれば、利益は少なくなり、結果として税金も少なくなります。
逆に、売上が少なくても経費をうまく管理できていれば、残る利益が大きくなり手元に残るお金は増えてきます。

節税の基本は「合法的に経費をもれなく計上し、利益を適正に把握すること」です。
脱税とは全く異なります。正しく経費を計上することは経営者として当然の権利です。

飲食店で特に注意したい税務上のポイント

1,「まかない」の取り扱い
飲食店ならではのポイントが従業員への巻かないです。
従業員に無料または低額でまかないを提供している場合、条件によっては「給与」とみなされ、従業員の所得税の対象になることがあります。
課税されないためには以下の2つの条件を満たす必要があります。
 ①従業員が食事代の半額以上を負担していること
 ②次の金額が1カ月当たり7,500円(税抜)以下であること
  (食事の価額)ー(従業員が負担している金額)

この両方を満たせば、従業員への課税は生じません。完全無料で賄いを提供している場合は注意が必要です。なお、事業主本人(個人事業主)が賄いを食べている場合は、原則として経費になりません。

2,「食材費」と「家事消費」の区別
個人事業主として飲食店を営んでいる場合、お店の食材を自宅に持ち帰って家族で食べるケースがあるかもしれません。
これを「家事消費」といい、売上として計上しなければならないルールになっています。

「どうせ自分で食べるだけだから」と見過ごしがちですが、税務調査では確認されることがある項目です。
食材の持ち出しがある場合は、適切に記帳するようにしましょう。

3,「交際費」の取り扱い
お客様への手土産代、取引先との会食費など、飲食店でも交際費が発生することがあります。
個人事業主の場合、交際費は事業に関連する支出であれば経費として認められますが、明らかに事業と関係のない飲食や贈り物は認められません。また、法人の場合は交際費に上限規制があります(資本金1億円以下の中小企業は年間800万円まで全額損金算入可能)。

4,消費税音「課税事業者」と「免税事業者」
基準期間(2期前)の売上が年間1,000万円を超えてくる場合もしくはインボイス登録をした場合などは消費税の申告・納付が必要な「課税事業者」になります。
売上管理がしっかりしていないと消費税の申告を忘れてしまった!という事態になりかねません。
売上が1,000万円に近付いてきた場合、インボイス登録をする場合などは早めに税理士に相談されることをお勧めします。
インボイス制度については仕入れ先がインボイス登録事業者かどうかも経費計上に影響します。食材の仕入れ先が個人農家や小規模業者の場合は特に確認が必要です。

5,現金商売だからこそ「売り上げの管理」が重要
飲食店はレジを通した現金取引が多く、税務調査で売り上げの計上漏れを疑われやすい業種でもあります。

「少しくらい現金をポケットに入れてもわからないだろう」という考えは非常に危険です。
税務署は、仕入れの量・席数・営業日数・業界の平均的な原価率などから、「このお店の売上はこのくらいのはず」という推計を行うことができます。実際の申告額と大きくかけ離れている場合は、調査対象になりやすくなります。

POSレジの導入や会計ソフトの活用で、日々の売上をきちんと記録する仕組みを整えましょう。

飲食店で活用したい節税対策

1,減価償却を活用する
厨房設備・冷蔵庫・POSレジ・内装工事など飲食店は開業時や設備更新時に大きな投資が発生します。これらは一度に全額経費にはなりませんが「減価償却」という仕組みで数年にわたって少しずつ経費化していきます。

また、少額減価償却資産の特例(青色申告者対象)を使えば、取得価額が30万円未満の設備・備品は購入した年に全額経費にすることができます(年間300万円まで)。厨房機器や業務用冷蔵庫などを購入する際は、この特例を意識すると節税につながります。

2,青色申告を活用する
個人事業主の方には青色申告を強くお勧めします。青色申告を選択することで以下のような特典が受けられます。
✓ 青色申告特別控除:最大65万円(e-tax利用の場合)を所得から差し引ける
✓ 赤字の繰越控除:赤字になった年の損失を、翌年以降3年間にわたって黒字と早大できる
✓ 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
特に青色新kの句特別控除は、帳簿をきちんとつけるだけで受けられる控除ですのでまだ白色申告の方はぜひ切り替えをご検討ください

3,家族への給与を上手に活用する
配偶者やご家族がお店を手伝っている場合、青色事業専従者として届け出ることで、支払った給与を経費にすることができます。
例えば配偶者に月15万円(年間180万円)の給与を支払った場合、その分が事業の経費となり、事業主本人の所得が減ります。その結果、所得税・住民税が下がる効果があります。
ただし、給与額は「仕事の内容に見合った金額」である必要があります。実体のない過大な給与は認められませんのでご注意ください。

4,小規模企業共済で「節税しながら老後の蓄え」
以前の記事でもご紹介した小規模企業共済は、飲食店経営者の方にも非常にお勧めの制度です。
毎月の掛金(最大7万円)が全額所得控除になるため、利益が出ている都市ほど節税効果が大きくなります。廃業・引退時にはまとまった退職金として受け取れるため、「節税」と「老後の蓄え」を同時に実現できます。

5,経費の「漏れ」をなくす
節税の基本中の基本ですが、経費の計上漏れは意外と多いものです。飲食店で経費になるものの例を挙げると
✓ 食材・飲料の仕入れ代
✓ 家賃・共益費・駐車場代
✓ 光熱費(水道・ガス・電気)
✓ 人件費・アルバイトへの給与
✓ ユニフォーム・作業着の購入費
✓ 広告宣伝費(チラシ・SNS 広告・グルメサイトへの掲載料)
✓ 厨房設備・備品のメンテナンス費
✓ 税理士・社労士への報酬
✓ 研修・セミナー参加費(料理の技術向上・経営者勉強会など)

「これって経費になるの?」と迷ったときは事業と関係があるかどうかを基準に考えましょう。
判断に迷う場合はそのままにせず税理士にご相談ください。

まとめ

飲食店の税務は、まかないや現金売上の管理など、ほかの業種にはない固有のポイントがあります。
一方で、青色申告・小規模企業共済・家族給与の活用など、しっかり制度を使えば節税の余地も十分あります。

大切なのは、「知っているか・知らないか」の差です。正しい知識を持って制度を活用することが、手元に残るお金を増やし、お店を長く続けるための力になります。

「自分のお店の場合はどうなるの?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。

お問い合わせはこちらへ|いわかみ税理士事務所

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